Blog セミナー開催レポート|タイ人と働く

2019年08月14日 (水)

講座・セミナー開催記録
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2019年7月17日(水)、日経ビジネススクール(NBS)アジア2019実務講座「タイ人と働く」が開催されました。日本企業がタイに進出を始めておよそ半世紀。長く共に働いてきた日本人とタイ人ですが、タイ人従業員との信頼関係の築き方や従業員の定着、育成、モチベーションアップに悩む日本人駐在員は少なくありません。在タイ日系企業の数は5,000社を超えますが、タイ人の人気就職先としてランクインする日系企業もごくわずかです。自社の魅力をタイ人に伝え、お互いに気持ちよく働き、仕事を円滑に進めるにはどうしたら良いのでしょうか。

今回は、数多くの企業訪問と経営者インタビューを行い、自身も日本人とタイ人の間に立って関係構築に努める mediator co., ltd.のCEOであり、mirai campusの代表ファシリテーターを務めるガンタトーン・ワンナワスが、タイ人の採用、定着、育成、マネジメントに主眼をおいてタイ企業の事例と共に解説します。

実際の講座の様子は動画でもご覧になれます。

働くタイ人の価値観と人生設計

まずはじめに、タイ人の仕事と人生に対する一般的な考え方を解説。階層意識がまだ根強く残るタイ人にとって、少しでもお金を得て暮らしを豊かにし、子どもの代では階層を上に挙げたいと考えます。ここでは、ワーカー層と中上流層の人生でやりたいことを紹介しました。

続いて働くタイ人の実態調査報告書を紹介。働いてみたいと思う仕事のトップとして挙げられたのが個人事業主です。ついで上場企業、スタートアップビジネスと続きます。一方、現時点で希望している職業は「会社員」ということで、働いてみたい仕事と現実に乖離が生じています。時間的自由、金銭的自由、行動選択の自由という点で将来的には個人で事業を起こしたいタイ人が多いことが伺えます。特にこの「自由な働き方」に主眼を置くジェネレーションYと言われる23歳〜39歳の層が今後の課題とし、彼らといかに共存していくか、タイの企業も課題と感じていることが解説されました。

人気就職先はPTT、SCG、CPgroupといった超大手企業が根強い人気でランキングトップに入り、安定志向のタイ人の志向が伺えます。人気ランキングにはなかなか入らない日系企業ですが、こうした企業の給料や福利厚生、職場環境はクチコミサイトなどにも多数公開されており、タイ人はこうした情報から就職先の選定をしています。

こうした状況の中で私たち企業側がきできることとして、同氏は5つの要件を挙げます。それは、branding(会社の知名度)、atmosphere(会社の雰囲気)、system(社内の仕組み)、relationship(業務環境)、career(自己成長)です。

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講座の後半は、前述した5つの要件をもう少し細かく解説。同氏はまず自社(mediator co., ltd.)の現状についてこの5つの要点について紹介しました。

まずはじめにbranding(会社の知名度)です。ブランディングは大手企業が広告費をかけて外部に対して行うものというイメージがありますが、同氏は社内の従業員にこそブランディングを進める大切さを解きます。インナーブランディング活動による従業員の会社に対するイメージは、クチコミとなって電波し、より良い人材の獲得に繋がります。また、なかなか説明のしにくいBtoBでのビジネスを行う企業や人気のなかった老舗企業のブランディング活動事例を紹介し、経営者の働きかけが企業ブランディングの向上へと導くことを示唆しました。

atmosphere(会社の雰囲気)では企業のアクティビティや従業員の属性把握、またhappyworkplaceに代表される企業の取り組みついて紹介。「給料が500THB増えるより、みんなでお寺にタンブンに行けることの方が幸せだ」と話した企業コンサルタントの言葉を紹介し、従業員のエンゲージメント向上について解説しました。

system(社内の仕組み)では、「役職別、現在の仕事に対するhappy&アンハッピーな部分調査」を取り上げ、経営者、マネージャー、リーダー層までがアンハッピーな部分として「(給料を含まない)会社の仕組み」を挙げたことを紹介しました。具体的な取り組みとしてはCP ALLが運営する大学PIMの取り組みとSCGのキャリアステップを紹介し、仕組み作りと定着の重要さを解説しました。

relationship(業務環境)では、上司と部下の関係構築に主眼を置いて解説。会社がもつビジョンや仕事の内容を従業員にいかに分かりやすくイメージしてもらうかを紹介しました。ここでは、いかに自分の指示が曖昧で伝わりにくいものかをレゴブロック使ったみにワークショップで体感していただきました。

最後のcareer(自己成長)では、同志が自社でもっとも力を入れているとし、時として外部の講師の力を借りることで社員の納得度が増すと考えていることやタイ人にとって社外研修が会社からの期待として非常に前向きに捉えられるということを開設しました。

最後に同氏は「自社でできるところからやってみませんか」とし、変化する国、人、周辺環境の中で企業はどのように対応していくべきなのか、前タイ王国国王ラーマ9世の言葉で締めました。

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執筆 mirai campus

mirai campus の運営事務局。

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