Blog 未来のハイパフォーマンス人材を獲得する、失敗しない採用・面接術

2018年10月18日 (木)

講座紹介
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期待して雇ったのに思ったようなパフォーマンスを発揮してくれない。問いただすと言い訳が多い。面接で話していた「頑張ります」はなんだったのか。しかも、役職付のマネージャーでこのままでは業務のボトルネックに…。せっかく採用した人材について、頭を抱えてしまったことはありませんか?

その疑問に対する答えはズバリ「採用」にあります。多くの場合、採用の段階で「間違った人材」をとっていることが多いのです。人材と会社の不一致は、採用の段階から見直すしかありません。

では、会社にマッチした適切な人材を採用するには、どうすれば良いのでしょうか。面接時にはどのような点に目を向け、どのような質問を投げかけ、どう人材を見極めれば良いのでしょうか。

この根源的な疑問に答えてくれたのが、元CPグループの人事担当部長であり、組織開発や経営管理、人材育成など人事の分野で約29年の実務経験を持つティラウット・ウォンサウェークンさんです。人材の重要性から具体的な面接テクニックまで、去る8月24日に日経ビジネススクール(NBS)アジアで開催された講座「人材を見極められる『採用面接の徹底活用法』」で語られたエッセンスをお届けしましょう。いますぐ使える採用面接ノウハウが満載です。

目次
1. 人材はすべての始まりであり土台である
2. 自分はこの人材を育てられるのか?
3. そのポジションに必要な要素は何か?
4. 人材を選別する手段はこんなにある
5. 面接では”未来”と”過去”を聞く
6. 言葉ではなく、相手の反応をさぐれ
7. どのようにやったのか?オープン形式の質問で能力を判断する
8. プラス思考かどうかを測るには…

1. 人材はすべての始まりであり土台である

マッキンゼーは、組織を考える上で必要な7つの要素(経営資源)を次のように揚げています。

1. 戦略(Strategy)
2. 組織(Structure)
3. システム(System)
4. 価値観(Shared Value)
5. スキル(Skill)
6. 人材(Staff)
7. スタイル(Style)

これらの7つのSのうち、1〜3はハードのS(組織の構造に関するもの)。4〜7は、ソフトのS(人に関するもの)です。ハードについては一旦、決めてしまうとそう簡単には変えられませんが、ソフトは構成する人材によって良い方にも悪い方にも容易に変わります。

組織は人材で決まってしまうといっても過言ではありません。人材はすべての始まりであり、組織のピラミッドの土台です。すべてのものを作り、悪くすればすべてを破壊してしまう可能性さえある。それが人材です。

このように人材は何にも増して重要ですから、人事はどういう人がほしいかを明確にし、採用してリテンション(維持)する仕組みを作り、それをうまく回していかねばなりません。それが企業の持続的成長に直結するからです。

企業に重要なのは「人」「モノ」「金」だと言われていますが、この順番には意味があります。重要度の高さからいっても「人」「モノ」「金」の順番なのです。一番手に入りやすいのは「金」、次が「モノ」。もっとも手に入れにくいのが「人」。「人」はどんな企業にとっても根幹をなす重要な存在です。

2. 自分はこの人材を育てられるのか?

適切な人材がほしい場合、すぐに外部に目を向けがちですが、まずは組織の中に本当にいないのか?、あるいは外から引っ張ってきた方が良いのか?を熟慮しなければなりません。もし内部にいるのであれば、内部の人材にチャンスを与えることが先決です。

内部には見当たらないから外から採用したいーー。その場合には、人材をABCでランク分けしましょう。Aは求めるスペックにもっとも合致している人材というランク。Cが普通のランク、BはAとCの中間だと考えてください。

当然ながらAが多いのが理想ですが、実際にはBとCがたくさん入ってくることを想定しなければなりません。採用した後、CやBの人材をAに持っていく仕組みが求められるのです。組織としてしっかりとした人材開発のプログラムや研修が組まれているのがベストですが、それが不十分な組織も少なくありません。そうした場合には、人材育成は上司の仕事になります。

つまり、人材を採用するときには、「自分がこの人材を仕事ができるようになるまで育てられるかどうか」という上司の視点が不可欠だということ。採用時には、「この人は組織に何を提供してくれるのか」という視点と同時に、「組織はこの人に何ができるのか」についても考えなければなりません。「この人のために会社は何をしてあげられるのか」という視点を忘れないでください。

3. そのポジションに必要な要素は何か?

組織にとっての「適切な人材」とはどのような人なのか。それを突き詰めていく際には、以下の5つの項目についてもれなく考え抜くことです。

1. ナレッジ
2. スキル
3. アトリビュート(属性)
4. DNA
5. コンピテンシー(行動特性)

5のコンピテンシーは1〜4のすべての要素と密接に関連しています。

さて、ここで大事なのは、求めるポジションにおいて、どういった知識や能力、属性が必要なのか、それぞれのポジションごとに必要なコンピテンシーを明確にすることです。

例えば、アップル製品に関して高度な知識や修理の技術を持った人材がいるとしましょう。この人材がアップルストアで働く場合、お客様に話しかけるスキルがなければ店で働く人材としては不適切です。

どんなに知識やスキルを持っていても、そのポジションに必要なコンピテンシーがないとその人材を活かせる場面はありません。

4. 人材を選別する手段はこんなにある

人材を採用するための手段はテストや面接だけ。そう考えていませんか。テストといっても以下のように複数の種類があり、面接もいくつかに分けられます。その他にも手段は多数、存在しますが、これらの手段を組み合わせて適切な人材確保に努めます。

1. 基礎的なスキルテスト
2. 業務的なスキルテスト
3. 心理的なテスト
4. コンピテンシー・フレームワーク
5. 面接
6. 構造的な面接
7. コンピテンシー面接
8. ゲーム・ロールプレイなどの活動
9. 能力のアセスメント
10.その他(薬物検査、保証人、視力検査など)

1の基礎的なテストは必ずやること。「これぐらいはできるだろう」と考えてはいけません。2の業務的なスキルテストはナレッジとスキルを見るために必要です。エンジニアなら図面を見て読めるかどうか、経理なら数字が読めるかどうか、仕事に必要なスキルテストは欠かせません。3の心理的なテストは性格を見定めるために行います。4のコンピテンシー・フレームワークとは、スキルとナレッジを引っ張り出すためのテストです。

世の中の面接のほとんどは、任せたい仕事ができそうかどうか、スキルだけを見る傾向がありますが、スキルとナレッジの両方を細かく見ていく必要があります。

5. 面接では”未来”と”過去”を聞く

先に挙げた10の方法のうち、何よりも重要なのが面接です。

会って話をしてみないとわからないことはたくさんあります。面接を通して初めてその人材の性格や反応をチェックすることができるのです。ポジションとその人材のコンピテンシーがマッチしているかどうかをチェックするために面接は必須です。

面接時に相手に問う質問はかなり熟考する必要があります。ここに時間を割かずに面接に臨むと、質問が「目標は何ですか?」「趣味は何ですか?」などといったトラディショナルな内容に終始してしまいます。

質問には、トラディショナルな質問のほかに、シチュエーショナルな質問(状況に関する質問)、ビヘイビアを問う質問(ふるまいや態度・行動に関する質問)の3種類があり、どれも欠かすことはできません。トラディショナルな質問だけでは不十分です。

シチュエーショナルな質問では、その人の未来を見るようにしましょう。未来や状況を仮定した上での質問です。例えば、「前の会社で1000万バーツの売上を作ってきた」という人であれば、「私の会社で3000万バーツの目標を与えられたらどうしますか?」と尋ねてみるのです。

ビヘイビアを問う質問としては、「人生の中でもっとも苦しんだ仕事について語ってください」といった過去に関連する質問を投げかけてみましょう。そのときのタスクは何だったのか、どんな行動を取ったのか、行動結果についても詳しく尋ねることです。

過去について尋ねるのは、人間の75%は過去にやったことを繰り返す生き物だから。過去の行動は将来の行動の最も良い預言者なのです。

また、自由形(オープン形式)の質問を繰り出したり、1つの質問をさらに掘り下げて質問したり、選択肢を提示する選択型質問を駆使するのもいいでしょう。これらのテクニックを駆使して、最適な人材を見極めてください。

6. 言葉ではなく、相手の反応をさぐれ

質問を投げかけたときには、どういう反応を返すのかをよくチェックします。もし「このサービスが得意です」と言われたら、「どういうサービスをどのようにしてきたのか」と過去の取り組みについて詳しく尋ねてみてください。

接客の仕事をしていた場合、「1日何人ぐらい接客したのか?」「難しいお客様はいたのかどうか?」を尋ね、仕事の難易度を測っていきます。過去のぼけている部分を可視化できるような質問を重ねることで、前職の経験など略歴書からは見えない部分が見えてきます。

そして過去について尋ねたら、それより難しそうな未来の問題を設定し、さらに質問を重ねてみましょう。この質問をいやがっているのか、トラウマになっていそうか、乗り越えられているのか、困難な状況の対処に慣れているのかどうか。ぜひ注意深く相手の反応を観察してみてください。浅く座っていたのを座り直したり、浅く座っているけれど思わず後ろに下がったり、黙りこんだり。さまざまな反応が得られるはずです。

大事なのは、言葉ではなくて反応を見ること。自信がなさそうな表情になるかもしれません。座る位置を変えるかもしれません。質問に対する一瞬の反応や仕草が実は本音を語っているのです。

7. どのようにやったのか?オープン形式の質問で能力を判断する

面接で「できます」と言っていたことが、実際には「できなかった」。そんな不満を漏らす人事担当者は少なくありません。しかし、そうした事態も面接で防ぐことが可能なのです。

有効なのがオープン形式の質問です。可能な限り、自由に答えてもらう質問をしてみましょう。その答えから、本当にできるのかどうか、能力があるのかどうかをこちらで判断します。相手の言葉をうのみにするのではなく、こちら側が相手の答えを聞いて「できるかどうか」をジャッジするのです。

ポイントは、YES・NOで済む質問をしないこと。「◯◯ができますか?」ではダメ。「どうできるのか」を語ってもらいましょう。「◯◯ができますか?」と聞いて「できます」と回答されたら、「いつもどのようにやっていますか」と尋ねます。本当にできるのであれば即答できるはずです。

質問を重ねていく手法も効果的です。例えば大学でのアクティビティについて尋ねる場合には、「どんな活動をやりましたか」と尋ねて、相手に自由に語ってもらい、「もっとほかに何かありますか?」と続けて聞いていくのです。話をロジカルに引き出すために、質問の仕方はエモーショナルにすること。本当のことを語ってもらうために有効な方法です。

実際に一生懸命取り組んだことであれば話がとまらないはずです。そうすれば「これは本当にやったんだな」とわかります。質問を変えたのにもかかわらず、相手が前の質問に答えようとする場合には、後の質問項目については「やっていなかった」と考えた方がいいでしょう。

8. プラス思考かどうかを測るには…

日本の企業が好むのは、時間を守り、真面目で責任感が強く仕事を最後までやり抜くコンピテンシーを備えた人材です。

こうしたコンピテンシーがあるかどうかをチェックするには、「日本企業は仕事がハードだと知ってますよね?」「平均毎日9時まで仕事があると仮定します。その状況に対してどう思いますか?どう対応しますか?」といった質問をするといいでしょう。

ポジティブシンキングかどうかを確認できる質問もあります。例えば自動車業界であれば、「いま車の売り上げは落ちていますが、この事実に対してあなたはどう思いますか」という質問をしてみください。プラス思考か否かを知るには、悪い設定で質問をすることです。

ポジティブシンキングではない人は問題に触れないようにする傾向があります。過去の経験を喜んで語ってくれる人、課題を語り選択肢をいくつか用意しながら回答する人はかなりのポジティブシンキングと考えられます。最適な人材を見極めるには、このようにさまざまな種類や形式の質問を行うことです。

最後に繰り返しになりますが、面接でもっとも重要なのは質問をたくさん準備することです。どういう質問をするのかは先に決めておきましょう。質問のセットをたくさん用意していればいるほど持っていればいるほど採用側にとっては有利です。

準備に時間をかけ、質問を豊富に用意して面接に臨み、自社に最適な人材確保に努めてください。

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以上、ティラウット先生の講義のエッセンスをお届けしました。実際の講義では、さらに細かな事例や具体例をまじえながら、最適な人材を確保する方法や考え方が披露されました。

すぐに役立つ、明日から使えるノウハウが得られる日経ビジネススクール(NBS)アジアにこれからもご期待ください。

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執筆 三田村 蕗子

日本のビジネス誌、流通専門誌、ビジネス書を中心に活動するフリーライター。2014年11月、拠点をバンコクに移し日本とタイを行き来する。鋭い視点で、活気づくタイとASEANのビジネス事情を取材している。

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