Blog 第1回|会社をグループのエクセレントカンパニーにしたい。コーチングを導入した組織開発(古河ファイテルタイランド × Coach A)

2020年06月03日 (水)

企業取材記
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光半導体デバイス、光部品の製造販売を手掛ける古河ファイテルタイランドは、古河電工のグループ会社です。コーチ・エィのコーチングを導入したのは2019年。トップが目指す方向性を社員に伝え、社員の意識を変えることを目的にコーチングを導入した結果、同社はどのように変わったのでしょうか。果たしてコーチングの意義とは!?

古河ファイテルのマネージングダイレクター(MD)の小神野毅氏とその右腕のタイ人スタッフたち、コーチ・エィのマネージングディレクター青木美知子氏にガンタトーンが迫ります。

会社に新しい機能が増えていた

ガンタトーン:まず、古河ファイテルがタイに進出した経緯を教えてください。

小神野:2001年に進出し、ロジャナ工業団地内に設立しました。設立の目的は親会社からの依頼を受けてタイで製造をすること。ここでは光通信用光源レーザーの組み立てや光受動部品の生産を行っています。親会社からの依頼を受けて生産を行い、納入するのが弊社のミッションです。

ガンタトーン:小神野さんはいつから赴任されたんですか?

小神野:2015年です。設立当時、私は日本にいましたが、今回赴任をして、会社の機能が増えていたことに驚きました。生産システムの改善が進み、製品開発やセキュリティに関しても、新しい機能が増えていました。社員が若く、みな一生懸命にいきいきと仕事をしていることにも驚きを覚えました。これまでの諸先輩方が機能を持たせようと、教育とトレーニングを重ねていたようです。その成果の蓄積だと思います。

ガンタトーン:古河ファイテルは親会社以外からの注文は受けていないんですか?

小神野:はい、あくまでグループ会社向け製造が主なビジネスになります。グループ会社からの仕事をしっかりとこなすのが私たちの役割です。タイにはたくさんのエンジニアがいます。また、グループ会社の製品開発のスピードが上がるような提案をしたり、サポートをしたりしています。

会社の方向性が社員には伝わっていない

ガンタトーン:そんな活気のある環境でも、小神野さんは何か問題点を感じたからコーチングを導入されたんですよね。その問題とは何だったのでしょう?

小神野:ここは本当に良い会社です。才能のある人材を育てていけば、将来は古河電工グループのコアとして機能する会社になれるという可能性を感じました。赴任して1年が経った頃から、グループにとってなくてはならないエクセレントカンパニーにしたいと強く考えるようになったんです。ただ、それが社員には伝わっておらず、浸透していないように感じていました。

ガンタトーン:小神野さんが掲げる目標やゴールを社員は理解していなかった?

小神野:はい。年に2、3回、全社員の前でスピーチする機会があって、「我々のゴールはこうだ」「こうなりたい」と話してはいます。でも、そのときは理解してもらっても、翌日の昼ぐらいになると忘れてしまう(笑)。これはなんとかしないといけないなと思っていた頃、日本の上司から「社員の意識を変えて、自主性を上げる手法としてコーチングがあるよ」とコーチングの本を勧められました。まさにそのタイミングで、コーチ・エィさんから営業を受けたんです(笑)。

ガンタトーン:これ以上ないグッドタイミングだったんですね。

小神野:本当ですね。自分の決済の範囲内だったので、「コーチングを取り入れます」と上司には報告し、導入しました。

ガンタトーン:そこからコーチングを通して御社のチャレンジが始まったわけですね。

会社自体はシンプルに前に進む力をすでに持っている

ガンタトーン:コーチングを取り入れることに対して、社員の方はどう思っていたんでしょう。ブラニーさん、率直な感想を聞かせてください。

ブラニー:私は設立当初からこの会社にいるので、これまでにもたくさんの研修を受けてきました。でも、ソフトスキルで会社が投資をしてくれたのは初めて。結果を手にとって触れるわけではないし、費用も高いはずなのによく導入したなと思いました(笑)。ただ、同時にそこまでしてくれるんだという感謝の気持ちも強くありました。

ガンタトーン:アピラックさんはいかがですか?

アピラック:世界の一流選手たちがコーチをつけているというのは知っていたので、コーチングについての知識は一通りありました。それまで、うちの会社ではみんなであるべき方向性を理解し、ともに目指そうという雰囲気ではなかったので、コーチングは良い機会だと感じましたね。とはいっても、従業員の価値観やマインドセットを変えることは簡単ではありません。これはチャレンジだなと思いました。

ガンタトーン:青木さんは、最初に小神野さんやスタッフの方たちと接したときにはどのような印象を持たれたんでしょう?

青木:私が行く前に、弊社のタイ人スタッフがおじゃましていて、現在のMDを社員がみな信頼をしていること、ただし、MDが変えようとしていることが社員にはあまり伝わっていないようだという報告は受けていました。実際に訪問してみると、確かにそれは感じましたね。小神野さんは社員を信じていて、自社に限りない可能性を感じているけれど、社員の方は皆が皆、そうではないという印象でした。

ガンタトーン:なるほど。

青木:小神野さんの言葉で非常に印象に残っているものがあるんですよ。「霧の中にいるようです」とおっしゃったんですね。自分が目指していることが伝わらない。伝わっているかどうかもわからない。その状態を表現した言葉です。

ガンタトーン:暗中模索の状態だったわけですね。伝わっているかどうかわからなければ、次に何をやるべきかがわかりませんよね。

青木:そうなんです。会社自体はシンプルに前に進む力をすでに持っていて、みな、「Ready」の状態にあるので、何が伝わったかを探求できさえすれば、打つべき手が見えてくる。伝わっていないだけですから、後は小神野さんの思いを伝えるだけ。私たちが霧の中で懐中電灯を使って、行き先を照らし出すことができるかもしれないと思ったんです。小神野さんの熱いハートに火をつけられた格好ですね(笑)。

ガンタトーン:霧が立ち込めていても、懐中電灯があれば前に進むことができる。コーチングの役割がよくわかる表現です。次回は、どのようにコーチングを導入し、どんな変化が見られたのか。その道程をたどりたいと思います。

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執筆 三田村 蕗子

日本のビジネス誌、流通専門誌、ビジネス書を中心に活動するフリーライター。2014年11月、拠点をバンコクに移し日本とタイを行き来する。鋭い視点で、活気づくタイとASEANのビジネス事情を取材している。

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